二〇二一年が終わろうとしている。人間の記憶をおぼろにしてしまうのに、半年という時間は充分だ。オリンピックは今年のことであったか。半年も経たないのに、昨年の事のように思える。「東京2020」という変更のなかったタイトルが余計にその混乱を招いているのかもしれない。
茶室のしつらえは、半年毎に大きく変わる。炉と風炉だ。風炉は五月から十月、畳の上に釜を置く。炉は十一月から四月、畳が切ってあり、畳の面より下に釜が置かれる。夏は涼しく、冬は温かく茶を楽しむためのものだ。そして、当然それに合わせてお点前も半年毎に変わる。釜を置く位置が変わるのだから、柄杓でお湯を汲む、その汲み方も変わってしまう。風炉が炉に変わった瞬間、半年前に半年間稽古していたはずのことがおぼろになっている。はて、どのようにしていただろうか。
そんなことで、茶の湯の世界は良くできている。忘れるものだから、また稽古に励まなければならず、一生続くであろう、修行の道である。
ユクは二〇二〇年五月にうちにやってきた。推定七、八ヶ月という年齢だった。二〇二一年には二歳になった。元気いっぱい、毎日お散歩に出かけている。今年も無事に年を越せそうでありがたく思う。
半年前のことは、やはりすでにおぼろであるが、このブログを書くようになったので、自分でも新鮮に半年前のことを楽しめる。考えたことも書いたことも忘れるものだ。まずは一年間ブログを続けられたことを喜びたい。お祝いに、ユク坊におやつをあげよう。オテ、オカワリ、アゴ、ハイタッチ!よし、よくできた。おめでとうユク坊!はて、何のお祝いであったか。