ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

強面(こわもて)の飼い主。人は見かけによらないよ。

ユクがうちに来てから一年以上が経過した。季節をひと巡りしたということになる。去年はこうだったなぁ、などと回想することも新しい楽しみだ。三年前はこうだった、とか五年前は、などと積み重なっていくことだろう。犬の散歩歴(犬の方ではなく、飼い主の歴)も一年を経過した。最初は戸惑うことだらけであったが、毎日のことなので、ある程度は慣れるのも早かったと思う。犬の暮らしや散歩のペースなども少しは理解できてきた。

近所の犬とその飼い主さんたちには大変助けられている。ユクも近所の犬にはまったく吠えなくなった。どの犬とも仲良くできているわけではないが、少なくとも飛び跳ねたり、吠えたりということはしなくなった。飼い主の皆さんと犬の皆さんの忍耐のおかげである。

f:id:oven9:20211022143916p:plainパンデミックの影響で、自宅で仕事をする方が多い昨今。昼間や夕方にユクを連れて近所へ散歩に出ても、犬連れの男性に出くわすことがままある。パンデミック関係なく、自宅で仕事をしていた私にとっては、昼間からぶらぶらしたり、犬を連れて呑気に散歩をしたりする様をご近所様に見られても気まずさがなくなった。その点においてはありがたい生活様式の変化だ。

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犬を連れていなければ、ご近所さんとこんなにもお話する機会はなかった。これは淡い交わりで、大変に心地よいものだ。自分のことを棚に上げて申し上げれば、強面の男性が犬を連れていることもある。しかし実際にお話してみると、強面の方は必ずと言っていいほど優しくておもしろい。人を見た目で判断してはいけない、ということは本当だ。強面の男性が赤ちゃん言葉を使ってユクに話しかけたりもしてくれる。人間は素晴らしい。人間をこのようにさせてしまう犬も素晴らしい。こうやって思い返すだけで頬が緩んでくる。

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どうみえてますか?

先ほどは棚に上げたが、はたして私はどのように見えているのだろう。
ロックバンドをして、茶の湯をして、格闘技をしているが、犬の散歩中は、革ジャンも着物も道着も着ていないので、そのことは見た目では分からないはずだ。しかし、眼の怪我をしてから、自動でサングラスになるレンズというものを導入している。これは紫外線の量に応じてレンズの濃さが変化するものだ。陽の差す屋外へ出るとゆっくりとレンズが濃くなっていくので、本人はサングラスになっていることにあまり意識が向かない。晴れていればともかく、薄曇りの日中などは、少しだけ色の入ったレンズとなる。外出から戻り、鏡を見てギョッとすることがある。目の前に色眼鏡のガラの悪そうな人間が現れるからである。

きっと私も、ユクが側にいるから気軽に話しかけていただけているに違いない。

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おっさん顔な得意なユク坊。