ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

「まるごと馬場のぼる展」で自分のルーツを知る。

幼少の頃、「11ぴきのねことあほうどり」という絵本を買い与えてもらっていた。大学に行くくらいまで、自分の本棚にあったように記憶している。ずっと大切にしてきた、とか模写して楽しんでいた、というほどのことでもない。ただ、持っていたなぁ、という程度のことである。

ある日、「まるごと馬場のぼる展開催」というニュースをネットで見つけた。直感的に、ぜひ原画を観てみたい、にわかにそう思った。東京練馬区の美術館で行われる展覧会は、緊急事態宣言下であるから、いつ中止になるかわからない。なので、開催初日に訪れることにした。

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練馬区立美術館

11ぴきのねこシリーズは全七作あるそうだが、私はあほうどりのものしか読んだことはなかった。その中で描かれるコロッケの美味そうなこと。そのことを強く憶えていた。コロッケが好きなのはこの本のおかげではないか。

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今度は自分で買った絵本と図録

展示の最初の部屋に、さっそく原画が並べられていた。運良く、七作の中から「11ぴきのねことあほうどり」が選ばれていた。創作のスケッチを観ただけで、もう泣きそうだった。よく解らないけれど、十歳に満たない自分自身と対面しているような気持ちになった。

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それぞれの猫の性格をシンプルな線で表現し分けている

妻が猫の絵を観て、あなたが好きそうな猫ね、と言った。
本当だ。私の好む猫の雰囲気だ。絵でも実際の猫でも、「私が好む猫の見本」がそこにあった。

猫を描くことで知られる漫画家、馬場のぼるだが、擬人化した動物の絵でも有名だったそうで、もちろん犬も描いていた。彼の描く犬は、何だか懐の深そうなのんびりとした雰囲気に見える。

f:id:oven9:20210729191129p:plainユクは一見、懐が深くなさそうな犬だ。売られた喧嘩はすぐに買う。
そんなユクも、自分より若い犬に対しては、大変懐が深い。とても優しい。普段、激しくワンプロを仕掛けるユクが、じっと我慢し、相手のやりたいようにさせている。

ユクはもうすぐ二歳になるが、まだまだユクより若い犬に出会うことは少ない。これから歳を重ねていけば、自分より若い犬に出会うことも多くなるだろう。ということは、段々と懐の深い犬に近づいて行くのではないか。

いまでも時折、のほほんとした瞬間を見せるユクなので、馬場のぼるの描くようなおおらかな犬になる素養は充分にあると思う。