と言っても良いのではないか、と最近感じている。
怯えるがゆえに唸ってしまい、相手の犬とその飼い主さんを敬遠させてしまうことが多かったユクだ。あえて過去形で書いたが、いまでも唸る習性は抜けきれてはいない。落ち着きのない行動にも、近所の犬と飼い主さんたちは辛抱強く付き合ってくださった。迎えて約一年が経ち、広場でユクと近所の犬たちとの交わりを見ていると、随分と仲良くできるようになったではないか、と思える。無論ひいき目である。涙で霞んでよく見えていないのかもしれない。
体の大きな先輩犬に思いっきりワンプロを仕掛けるユク。大きな先輩犬はいつも遠慮がちにユクのワンプロを受け止めてくれる。なんと優しい犬だろうか。いきなり飛び跳ねるユクに対して、「いきなりはやめんか!失礼であーる!」と言わんばかりに吠えて指導してくれ(ているように見え)る犬もいる。勝手にけしかけていたユクが、少しずつ他の犬たちとの経験に学び、変わってきた。
警戒心をなかなか解かないユクに対して、「犬というものは本来こういうものだ」と言ってくださる方もいる。野良犬として、裸一貫で生きた経験を持つ犬なら、そう簡単に人を近づけさせたり、触らせたりするものではない、と考えていても当然だ。徐々にではあるが、他の犬の飼い主さんとの距離も近くなった。相変わらずマイペースな振る舞いではあるが、いつも可愛がってくださる方々に愛想良くしてくれると、安堵する。
出会ってすぐは、テンション高く飛び跳ねてしまうこと。その実、大変興味があり、他の犬と交わりたいと思っていること。自分だけ興奮して、円を描いて走り出してしまうこと。食べることが大好きなので、案外おやつで素直になること。脚が悪い割には沢山歩くこと。思いの外ジャンプできること。宮古島で保護された犬で、飛行機に乗った経験があること。むしゃくしゃすると草を食べまくること。このようなことを、ユクがどういう犬であるかを、限られた時間で懸命に他の犬の飼い主さんに伝える。
ユクのおかげで、飼い主の人間にも社会性が少し備わってきたようだ。