ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

犬は嘘をつかない。

お人好しという言葉は、あまり良い意味では使われない。自分がお人好しなのではないか、と気づいたのは三十代も半ばとなった頃だったように思う。中学生のとき、近所の友達にファミコンのソフトを二十本くらい貸したら、いつのまにかその友達が引っ越してしまっていたり、高校生のときには、どうしても明日免許証の試験でお金が要ると久しぶりに会った友達に嘆かれ、一万円貸したが帰ってこず。と、お人好しなエピソードには事欠かない。社会人になってからもお人好しな事柄は続くが、公開するのも憚られるのでここで書くのは控えたい。

 

四十を過ぎて、ようやく警戒心を持つようになった。とは言っても根本がお人好しなのは変わらないと思う。それでも自分なりに、少しはましになったのではないかと考えている。妻に言わせれば完全に否定されるだろうが。

 

腹を探り合ったり、見栄を張り合ったりする付き合いは大変疲れる。友達として付き合いを続ける相手はそのようなことがないほうが望ましい。嘘をつかない人か、嘘をついてもすぐに嘘と分かる人物と付き合いたいと思っている。

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犬は嘘をつかない。
常に正直であり、へらへらと愛想笑いを浮かべたりもしない。犬と暮らし始めて感じる心地よさは、そこの部分が大きい。

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過日、ユクが悪さをして言うことを聞かないので、「シャワーするよ」と脅かした。ユクは水が苦手で、二週間に一度のシャンプーが大嫌いなのだ。人の子のように、罰をちらつかせても、犬には通用しない。言ったところでどうにもならないので、抱っこしてバスルームまで連れて行った。いつも嫌なことでも甘んじて従うユクだ。抱っこされるままバスルームにおとなしく連れて行かれた。

 

しょんぼりと立っているユクを見て、私は申し訳なくなった。つまらない嘘を言って、言うことを聞かせようとしたことに後悔した。つい、人間にやるように犬を諭そうとしてしまう。

 

誠に犬は正直だ。
私もせめて、犬には正直でいよう。
そして犬に見習い、お人好しも改めよう。

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