宮古島で保護された犬と暮らすようになってから、現地の状況(保護される犬が多いこと)を少し知ったこともあり、宮古島の保護犬たちのことを気にかけるようになった。特段何かをするわけではない。宮古島で保護活動をされている団体のSNSアカウントを見て、この子はユクに似ているなぁ、君も助かって良かったねぇ、などと思うだけである。
ユクがうちへやってきてからすぐ。とてもユクに似ている犬をSNSで発見した。思わずスマートフォンのスクリーンショットを使って保存したほどだ。その犬は母犬で、子犬たちと一緒に保護され、神奈川の一時預かりボランティアさんの施設へと、数頭の家族でやってきた。この子はユクのお母さんかも知れない。頭の中で「母をたずねて三千里」のテーマが流れている。
しかし、どちらかのお宅へと正式に家族として迎えられたあとは、その子たちの消息を知ることもなくなってしまった。
ユクはときどき芝生などの上で、仰向けになってくねくねやることがある。何か気になる匂いがあって、それを身体に擦り付けようとしているのか、その逆か。シャンプーしたばかりなのに身体が、などとうろたえるのは人間で、犬はまったく気にしていない。こちらも笑ってしまうので、結局くねくねさせることになる。
くねくねやっている写真をSNSにアップした。
あまりにも自由極まりない格好に目を留めていただいたようで、メッセージをくださった方がいた。
ハッシュタグに「宮古島出身犬」と付いていたこと、ご自身の実家の犬にユクが似ていること、などから、直接コンタクトを取ってくださったのだ。
メッセージに添付されたアカウントの投稿を拝見してみる。そのユクに似ている犬とは、まさにあのときスクリーンショットを撮っていた犬のことだったのだ。名前は「凪ちゃん」といった。ユクのお母さんかもしれない。お母さんでなくても、親戚であることは間違いなかろう、などと胸が高鳴った。もちろん、頭の中のBGMは「母をたずねて三千里」だ。
あのとき見た、母犬と一緒に保護された子犬たちのアカウントも教えていただき、拝見した。色や柄が違うだけで、そっくりではないか。ユクの兄弟かも知れない。ますますその思いが強くなった。
住まいもそう遠くはない。
親子の感動の再会もいずれ実現できるのでは、いや実現したい。実現しなければ死にきれない。私の死ぬまでにしたいことリストに加えられた。
「ユクを凪ちゃんに会わせたい」