犬が人間社会で生きていくのは大変だ。
大変だ、というのも所詮は人間目線であり、犬はその時その時で目の前のことに対応し、学習し、適応しているのみだろう。それをやってはダメだ、と叱っても、なぜだ、というような表情をしていることもしばしば。ふーん、そうか、と適応してくれるのは犬のほうだ。私よりも随分と大人である。
偉そうにダメだダメだと禁止ばかりを口にしているが、できる限り褒めて育てたい、とは思っている。人間社会でも最近はその傾向(もしくは圧力)が顕著だ。他人である大人が、それが学校の先生であろうとも厳しく子供を叱りつけることはいけない世の中だ。すると、子供の両親にすべての責任がのしかかる。私の幼少期には近所に怖いおじさんおばさんが居た。悪さをすると叱られ、追いかけられた。今の大人が、それをやると警察に捕まる。かつて、学校の先生も塾の先生もとても恐ろしかった。平手打ち、回し蹴り、クッキーの缶の蓋で頭を打たれた。完全アウトだ。
しかし、どこまでやると、大人が本気で叱るのか、という境界線を学べたようにも思う。体罰はいけないことだが、本気で叱ることはもう少しあってもよいかな、と思う。
今の社会はそれら全部ダメだ。
だから、両親しか、我が子を叱れない。いや、両親すら「虐待」の言葉の下、叱れない環境にあるのかもしれない。
人間の話にそれてしまったが、犬にも厳しくできるのは飼い主だけである。それも「動物虐待」という言葉がちらつきはするが、体罰を行わなければ、厳しく叱るのは許容範囲だと思う。特に外を歩いているときには気をつけたいと思っている。他の犬を噛んではいけないし、もちろん、人を噛んでもいけない。
縄張り意識が強く、動くものには飛びつきそうになり、人間の子供は犬と同じであり、遊び相手である、と思っているようなユクについては、お散歩中とくに注意が必要だ。犬や人が近づいてきた局面では、リードをいつでも引けるようにして、気を配っている。
リードを持つ飼い主が緊張するから、それがユクに伝わっているのでは、とも思う。リラックスすることも試してはみているが、やはり怖い。外では厳しくならざるを得ない。
その代わり、家の中ではこれでもか、というほど、甘やかしています。