ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

注意深く観ること。犬に気を取られすぎた夫婦。

犬はいつも注意深く、自分の周りを観察している。もちろん観るだけでなく、犬のとって一番大切な匂いを嗅ぎ、音を聴き、周囲の変化に対して備えをしているようだ。備えと言えば聞こえが良いが、ほとんどは身の危険というより、食べ物にありつけるかどうか、というところが第一であるように思う。そのほうが、平和でよろしい。

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外の様子を眺めるのも趣味です。

人間の身体の動きにも敏感だ。これは音や匂いというより、気配を感じとっているようでもある。こちらがちょっと身体を動かすと、ユクもさっと立ち上がり、ああ散歩でしょうか、という感じであくびや伸びを始める。ユクのためにヤギミルクでも温めてやるか、と台所に立つと、リビングでオスワリして利口そうな顔をして待っている。

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リビングで利口そうに座って台所にアピールするユク坊。

散歩中は、大好きなお友達(犬)とおやつをくれるお友達(人間)を探している。見当たらない場合は、広場で待つこともしばしば。

散歩中の犬が集まって、飼い主同士でおしゃべりをしているとき。どなたかがポケットに手を入れようものなら、すぐ側まで行ってオスワリをして見上げる。うかつにポケットに手も入れられない。

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お知らせ見てるだけです。なにも出ません。

私たち飼い主は、そんなユクのことをよく観察している。拾い食いしないか、茂みに顔を突っ込んでダニをもらってきてないか、など、気にしながら散歩している。他の犬と仲良く挨拶できるかをよく見極め、飛びかかろうとするならそれを阻止する態勢もとっておく。犬の散歩はとても集中力の要るものなのだ。

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ある日の夜、妻が洗面所からリビングにやってきて、こちらをジロジロと見ている。眉間や目尻を動かしてこちらを見ている。はて。「髪型が変わったの、気づかないの?全然注意して見ていないのね!」と。言われてみれば、髪がカールしていた。犬の観察に力を注ぎ過ぎて、妻の髪型の変化を見逃していたようだ。

その日のお昼休み(つまり数時間前!)に私は散髪に行って、二ヶ月分伸びた髪を切ってきていた。

「そのセリフ、すっかりそのままお返しします」

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