散歩から帰ってきて、ユクがいかにも満足している風なときと、そうでないときがある。沢山歩いて体力を使ったあとや、新しい場所に行きクンクン活動を頑張ったあとなどは大変満足気である。帰ったらくたびれてすぐに眠る。犬のお友達と一緒に遊ばせてもらったりしたあともとても満足してそうだ。
あまりお友達の犬に出会えなかったり、可愛がってくれている人にも会えず、おやつももらえず、という散歩のあとは何だか少し不完全燃焼のような表情をしていることがある。
ユクは存外、散歩で人や犬に会うのが楽しみなのだとみえる。できるだけ、犬のお友達を増やす機会を作ってやりたい。犬を可愛がってくれる人が多いことも知ってもらいたい。
犬と犬を近づけるとき、ユクの様子はもちろんだが、相手の犬と、その飼い主さんの様子もよく観察する。犬を近づけるかどうか、飼い主同士の合意がまずある。そのあと、ゆっくりと距離を詰めて犬同士を近づけてゆく。ユクは犬同士の交わりが大好きだ。回数を重ねることで、いろいろな種、大きさ、年齢の犬との交わりを経験したことと思う。ユクは遊びをけしかけることが多いので、騒いでしまってすみません、と人間が謝らなければならないことが多い。それでも、仲良く挨拶できる姿を見たくて、なるべくチャレンジしている。
たまに、「うちの犬は犬が苦手で」と言って、犬同士を近づけさせない飼い主がいる。吠えたり唸ったりするので、近づけないのだ、という方も。そもそも、目も合わせない方もいる。嫌がる犬を無理に近づければトラブルになることもあるだろうから、その方針は仕方のないことだとは思う。人同士の交わりが面倒だ、と、考えているのかもしれない。その気持ちも大いにわかる。
「うちの犬は犬が苦手で」とおっしゃる場合でも、明らかに向こうの犬がこちらに興味を示していることがある。ワクワクした顔で尻尾を上げて振っていたりする。ガウガウやっているけど、もう少し近づけばおとなしく挨拶できそうな犬もいる。熟練した犬の飼い主でなくとも、そのくらいは分かる。このような場合は大変もどかしい。
しかし、前述したように犬の挨拶は飼い主同士の合意が前提だ。それに「犬のご様子を見る限り、犬が苦手なわけではないのではないですか？」とも言えない。
ユクの飼い主は人が苦手で。
