ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

ユクがうちへ来て一年経った。人と犬の気持ちが交わる瞬間。

過ぎてしまえば、一年というものは、あっという間だ。それでも中身を振り返れば、この一年は濃密であった。

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一日2回の散歩を欠かさなかった。365×2で730回は散歩に連れて行ったことになる。妻と手分けしていることを割り引いても400回は行っている。1回の平均を3kmだとしたら、1200kmだ。青森から鹿児島までの距離を犬と一緒に歩いたことになる。

 

自由奔放なユクと一緒に歩くときはいつも神経を張り巡らせている。車が来ないか耳を澄ましているし、前方に犬や子供が見えればリードを短く持つ。拾い食い王ユクがクンクンしている先に何か食べ物が落ちていないかにも気を配っている。ユクと沢山歩いたはずの道でも、独りで歩くと景色が違う。ユクを連れていると景色を優雅に眺めている余裕などないからだ。それでも、独りで歩くより、犬と歩くほうが断然楽しい。

 

この一年、多くの距離と時間をリードで繋がって過ごしたからか、ユクの気持ちが多少は分かるようになった。ユクもこちらの気持ちを分かってくれるようになったのだろうか。伝わってるね、と感じることもある。ここでは離れずもう少し側を歩こうね、2階行って仕事してくるね、おやつはもうないよ、などの些細なことだが。

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輝くフードボウル

最近では、山道を歩いているとき、少し高いところからユクがジャンプを見せることがある。「おお!ユクすごいじゃん!」と声を上げると、ユクは誇らしげな表情を浮かべながらお座りの態勢をとる。「すごい!」と「すごいでしょ?」を共有した瞬間だ。気持ちが交わった、と感じる。

 

さっぱり何を考えているか分からないことも多い(犬側もそうだろう)が、気持ちの交わる瞬間をもっと沢山作っていきたいものだ。今日の散歩はどこへ行こうか、ユク坊。

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