ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

犬に対してはリーダー役を引き受けなくてはならない。

何かの代表になる、たとえば会社であったり、委員会の会長だったり、バンドのリーダーであったり。そういう類のものを避けて生きてきた。アカレンジャーよりアオレンジャーが好きだったので、きっとこれは子供の頃からそうだ。一番は嫌で、二番目くらいが丁度良いと幼少から考えていたのではないか。

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大人になったから食べられるようになったフカのヒレ。何度も食べたことはない。

給食を食べ終わったら、大きな声で「ごちそうさまでした!」という決まりになっていた。一番に食べ終わった者はちょっと格好いい奴という扱いを受けていた。私はよく一番に食べ終わっていたのだが、一番に言うのは恥ずかしくて、誰かがごちそうさまを言いそうなのを見計らって同時に言おうとすることが多かった。大体同時に言うのは失敗して、格好いい奴の称号を逃していた。称号は欲しいが目立ちたくない、という面倒な心持ちからこのような行動に出たものと思われる。

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このように、何かの代表になって目立ちたくない、という生き方をしてきたが、犬が家に来て、そういう訳にもいかなくなった。犬に対して、自分がリーダーになってやらねばならないからだ。犬のほうが、この人達は頼りないからボクがリーダーになってやるかな、となってしまっては、散歩やら何やらが犬主導になってしまうそうだ。それは困る。
最初の半年くらいは本当に疲れた。リーダーシップなんて、ほとんど発揮したことがなかったからだ。傍目にはよく分からないだろうが、本人の心労は相当なものだった。

思えば何度か、こういうリーダーシップを発揮しなくてはならないタイミングはあった。バンドを新しく作るとき、会社が潰れて独立せざるを得なくなったときがそれにあたる。

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犬に対してリーダーシップを発揮し、犬の全責任を負う、ということを一年間続けてきて、自分自身の性格も変わったように思う。それが良いのか悪いのかは判らない。しかし、随分と変わった。

結果、成長であることを切に願うばかりだ。