ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

昨日は良くて、今日は駄目。犬には理解してもらえない人間のわがまま。

犬と人間とのルール作りにおいて難しいところは、理屈が通らないことだ。何が得であるか、という認識も人間とは大きく違う。たとえば、一度にすべてを食べてしまわず、あとに取っておいたほうが良い、などということをユクに言っても通じない。

野生の犬はいつ食事にありつけるか分からないため、食事を残して穴に隠しておく習性がある、という話も聞く。その習性の名残で、飼い犬でも庭に穴を掘って食事を隠したりする行動が見られるそうだ。

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初めて食べるものにだけ慎重なユク坊

ユクは一切そういうことをしない。食事は与えられた分を一気に、ものすごい速度でたいらげる。口に合わないもの以外は、絶対に残さない。お腹いっぱいです、もう要りません。と、どの程度まで食べればそうなるのか見てみたいものだが、怖くてそんな挑戦はできない。犬は食べすぎで胃捻転にもなってしまうことがあるそうなので、気をつけなければならない。ユクはきっと胃がひっくり返るところまで食べてしまうに違いない。

ユクと一緒に布団に入って寝る、という夢はひとまず叶えた。毎日、外で転げ回った身体のまま布団に入って来られては不衛生なので、ユクのシャンプーをした夜にだけ、一緒に寝ることにした。つまり、二週間に一回の特別な日ということだ。しかし、「特別」なのは人間側の勝手な設定であり、犬には通じない。その日、犬は人間のベッドに上がっても良いというルールを学習したのだ。シャンプーを終えた日だけ上がっても良い、という条件付けは相当難しそうだ。二週間に一回ではなおのこと。

案の定、一緒にお布団に入った翌日も、ユクは人間のベッドに上がりたがった。駄目と言ったが、こちらも心苦しい。どうして昨日は良かったのに、今日は駄目なのか、という表情をしている。申し訳ない。飼い主が駄目だというのだから、仕方ないという風情でとなりで横になった。

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人間の理不尽に「?」なユク坊

こんなことなら、同じ布団で寝るということをしないほうが良いのだろうか。一貫したルールのためにはそのほうが良いのだろう。ああしかし、犬の温もりを感じながら寝ることもしたい。

犬の澄んだ瞳の前で、
人間のわがままの澱んだこと。

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