ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

「明日行こうな」とつぶやいた。

梅雨らしく曇天が続いた。もちろんしっかり雨の降る日もあり、ユクをあまり遠くに連れて行くことができない。ドロドロになるので山の中にも入っていけないし、川は増水していて流れが早い。それでもユクは際まで行って流れを確認する。川や橋をとても怖がる時があるのに、平気で際まで行って覗き込んだりもする。一体何を基準にしているのか、人間にはさっぱり分からない。

際を攻めるユク坊。

気温が上がってくる季節は、むしろ曇天の方がありがたい。だが、その日私は夜に出かけなければならなかった。つまり、帰ってこなければいけない時刻が決まっていたわけで、無限にユクの散歩に付き合うわけにもいかなかったのだ。毎日毎日、北鎌倉に行きたそうにするユク。曇りの天気であれば北鎌倉まで行けそうな感じがする。だが時間がない。

野良犬のように寝る飼い犬。

「ユク坊、明日北鎌倉に行こうな」
犬に言っているのか、自分に言い聞かせているのか分からないが、そのように呟きながら近所を散歩した。

本当だろうな?

翌日、約束の日が来た。しかし、なかなか蒸して暑い。犬の口は出て早々に開いている。この状態で北鎌倉の方、つまり西側へ向かって歩くのは危険だ。西日を浴びながら歩かなければいけないからだ。犬に約束という概念はないので、犬との約束といっても、人間が自分自身と約束しているだけである。犬との約束を破ったということにはならないが、自分との約束は守れなかったことになる。

機嫌良さそうに見える。

「ごめんな」と言いながら、近所の散歩ルートに切り替えた。
ユクの口は開いている。開いた口で見上げられると、笑っているように見える。おそらく前方からこの犬を見れば、とてもご機嫌に歩いているように見えるだろう。

海が好きなユク坊。

いよいよ夏が近づいて蒸し暑くなってきたので、午後の散歩で西に向かって歩くのは難しくなってくる。この時期は、海開きの前の海が狙い目であろうか。