定番というものがある。標準というかスタンダードというか、そういうものの話だ。
私は吉野家の牛丼が好きだ。チェーンには様々あり、各店で少しずつ味が違う。チーズを載せたりラー油をかけたり、バリエーションも店によって様々だ。それらはそれぞれに美味しいことは確かである。ただ、その突飛なトッピングも、吉野家の牛丼という基本があるからこそ際立つものだと思う。吉野家の牛丼の「並」は、ご飯、お肉、玉ねぎの分量が絶妙なバランスで仕上げられている。

「足りなかったら嫌だな」という気持ちがどうしても抑えられず、ついつい大盛りを注文してしまう。大盛りも美味しいことには変わりないが、バランスが少し違う。やはり並のバランスがちょうど良いのである。それが牛丼における私のスタンダードであり、それを基準として、特盛にしたりチーズを乗せたりして味の違いを楽しむのである。

最近、なぜかビスコというお菓子にハマっている。なんとなく子供が食べるイメージのお菓子だ。パッケージもそのような感じであるし、大人になってからは少し手を伸ばしにくい商品となっていた。以前、北鎌倉の散歩エリアにビスコを買える自販機があり、たまにそこで栄養補給をしていた。そのせいというわけではないが、空前のビスコブームが今、私に訪れている。

普通に食べていても美味しいのだが、少し飽きてくると味に変化を求めたくなる。そこでビスコを二つに割って食べてみる。これは誰でもやったことがあるはずだ。その時、クリームは二等分にはならない。大抵は片方のビスケットにクリームが残り、もう片方は剥き出しになる。ビスケットだけの味を確かめるのは変化があって楽しい。今度はクリームがついた方を食べてみる。ビスケットとクリームの比率が変わり、これもまた美味しい。

ふと思い立って、クリームのついているビスケット同士を合わせてみてはどうだろうかと「ダブルクリームビスコ」をこしらえてみた。ダブルバーガーのような出立ちだ。食べてみたが、食感は大きく違うものの、特別に美味しいというわけでもなかった。やはりビスケット二枚にああの量のクリームが挟まっているのが、メーカーが試行錯誤の末に見つけ出した最高のバランスなのだ。牛丼の並にあたる標準的なビスコのバランスこそが、最高に美味しい。

新しい場所に引っ越してきて、なかなか標準的な散歩コースというものが定まっていない。日々、標準的なコースがあるからこそ、たまに遠出をしたり、海まで行ったり、ハイキングコースを歩いたりすることがより際立つのだ。今のユクは、毎日でも海まで行こう、ハイキングコースを歩こうという勢いで散歩をしている。つまり毎日が「ハレの日」なのである。
「並」の散歩コースを、早く定めたい。
