なかなかペースがつかめない。
もしかしたら、犬のほうが先にしっかりとペースをつかんでいるのかもしれない。犬は新しい環境を楽しんでいる風にも見える。とにかく知らない匂いがいっぱいだ。においコレクターであるユクは、とても収集に忙しそう。

年度末だからか、仕事のほうもなんだか忙しい。忙しいのは良いことなのだ。けれどもいろいろとやることが多く、気持ちが落ち着かない。

湘南、鎌倉というと海のイメージであるが、鎌倉は山も近い。引っ越してきたところにも、ハイキングコースの入口というものが近くにある。山に入ると、犬の目が変わる。ユクは本当に山が好きなのだ。犬の喜ぶ姿を見たいので、今朝は山道に連れて行った。山道に来るまでは、いやそっちじゃないんですよ、というような感じで後ろ向きな散歩をしていたユクも、入った途端、前を歩き始めた。口は半開きである。

三十分ほどかけて衣張山の山頂に立つ。富士山が近いく、大きく見える。何度も言うように生粋の関西人である私は富士山に弱い。三十分の朝の散歩でこの富士山を見ることができるのは、なかなかのご馳走である。

ユクに引かれて山を登ってきた甲斐があった。
一時間くらいで帰ってこられる。良い。散歩ルートをひとつ覚えた。
三十分コース。
六十分コース。
九十分コース。
犬の散歩には、いろいろな時間メニューが必要だ。人間の都合に合わせてコース選びをする必要がある。かつ、犬も楽しめるコースであることが重要である。
「衣張富士見コース」と名付けたい。
