
高校生になったら夜中に友達と外を歩きたい。大晦日は、ほっつき歩くための最高の理由ができる。だから、夕方から出かけて行って、須磨の海岸で初日の出を見るため、歩いて浜まで行った。お金がなくて、暇だけがあるからできたようなことだ。それは四十年も前の話である。

そのような昭和の時代から時は進み、私も歳を取った。ルーティンを好むようにもなった。そして、年越しの行事の一つとして、紅白歌合戦を観るようになった。
男性グループも女性グループも、誰が誰だかさっぱりわからない。「おニャン子クラブが全員同じに見える」というような爺さんを馬鹿にしていたが、自分にその順番が回ってきた。全員同じに見える。

ものの理解の抽象度が上がったのか。いや、単に興味がないだけなのか。おそらく後者だろう。似たように見える茶碗や茶入においては、その小さな違いを愛でている。興味があるからだ。アイドルグループのメンバーの髪型や性格などの違いには、まったく興味がない。ただそれだけのことなのだと思う。

「歌合戦」という割に、録画、または完全に口パク、当て振りであろう、というものも多かった。中継感を出した事前収録もある。音程を外しても、演奏を失敗したとしても、生放送なのだから生の演奏を観たい。興ざめだ。

岩崎宏美は良かった。イヤーモニターをしていなかったので、少しリズムにうまく乗っていないところに肝を冷やしたし、年齢のせいだと思われるが、高音が厳しそうなところも多々あった。しかし、それが本当に良かった。録音したものを聴かされてもつまらない。なにが「歌合戦」なんだ、と感じてしまう。

そのようなことをぼんやりと思いながら、ユクと正月の散歩を楽しんだ。静かだ。鶴岡八幡宮周辺の道路には通行規制があり、バスしか通らない。北鎌倉は歩行者もまばらである。

あけましておめでとうございます。
勝手に作ったユク坊の歌を、アカペラで歌いながら。