ご近所さんの犬の飼い主さんのお話を聞いた。
お留守番ができない、とのことだった。ユクが当たり前にお留守番をしてくれるので、すっかり苦手な犬がいることを忘れていた。自分だって、はじめてユクを留守番させるときには恐る恐るだったし、色々と考えていた。そんな気持ちもすっかり忘れていたのだ。

留守番はせいぜい三時間くらいにしましょう、と物の本には書いてある。犬が分離不安から部屋を荒らしたり、やさぐれ(?)たり、と、とにかくストレスを大きく感じてしまうから、ということだった。だから、ユクの場合も少しずつ時間を延ばしていった。最初は見守りカメラを確認しながら、近所をぶらぶらして帰ってきたり、そのような実験的なことをしながら様子をみた。

ユクはとにかく吠えない。要求吠えということは皆無だ。ブルブルと頭を振って音を立てたり、爪をフローリングに当ててタップダンスの要領で音を出して、お知らせしてくる。「ワン!」と言えば済むことなのに、自分では開けられないドアの向こうで足をカチカチ鳴らしながらもじもじしている。もちろん、寂しくて吠えるとか不安で吠える、といったこともない。

もうひとつ、褒めたいことがある。
ユクは、留守中に一切のいたずらをしない。おやつの袋も主食にしているドッグフードの袋も目の付くところに置いてあるのに、絶対に盗み食いをしないのだ。これは本当に涙が出るほどに素晴らしいことだと思っている。人間も見習わなければ、と背筋が伸びる。

飼い主の留守中に吠えすぎて憔悴した犬のことなど聞いたことがある。
そういう思いをさせたくないので、犬を置いて出かけられなくなるだろう。
ユクはお利口に留守番ができる。これは自慢だ。

少し長めの留守番のあと、帰宅して再会しても、おお帰ってきたか、くらいの反応なのが寂しいが、そのくらいのほうが、こっちは助かるというものである。