朝、ユクにホットヤギミルクを作ってやる。
犬になるべく水を飲ませたいのだが、ただ「水を飲め」と言っても飲まない。だからある意味それは、少しでも色や味がついていれば飲むだろうという、人間の魂胆が詰まった飲み物なのだ。
ユクはこのヤギミルクが好きなようだ。こちらの思惑どおり、散歩前によく水分を摂ってくれる。

「散歩前にヤギミルクを飲む」という行為は、すっかりユクの毎日のルーティンに組み込まれている。ヤギミルクを作るのを忘れると、「何かお忘れではないですか?」という顔でお座りをしていることもある。まあ、逆にミルクをすっ飛ばして玄関でお座りしていることもあるので、お互い様である。

このミルクは粉末なので、「作ってやる」と書いた。少し手間がかかるのだ。少量のお湯で溶いて、水で温度を調整してからユクに差し出す。
その日、ヤギミルクを切らしていることに気づいた。機転を利かせて、冷蔵庫の豆乳をお湯で薄め、ユクに差し出した。色味は悪くない。

ユクは匂いを嗅いだのち、ひと舐めしただけで顔を背けた。匂いでバレたようだ。味がついていれば良いというわけではなく、豆乳ではダメらしい。さすがに犬の鼻は良いな、と感心した。

翌日、妻が「ヨーグルトを薄めてやったら飲んだよ」と教えてくれた。なるほど、ヨーグルトは大好きなので、その風味を加えればよかったのだ。うーむ。
さすがに妻の頭は良いな、と感心した。
