ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

変わる街と変わらない山。

年に数ヶ月間、大阪出張が毎週ある。十年以上大阪に住んでいたので、決して知らない土地ではない。それでも、ここ数年はまるで別の街になってしまったと感じる。なじみの店が次々と姿を消し、その跡地にはドラッグストアが新しくできる。外国からの旅行客が多く、そうした需要が高いのだろう。旅行客だけでなく、明らかにここで暮らしているな、と感じる外国人も増えた。大阪の街は、すっかり様子を変えてしまった。

このあたりも変わったよなぁ。(日が暮れただけでしょ?)

大阪に行っても、もはや懐かしさのようなものはない。
それでも、変わらないものがある。新幹線の車窓から拝む富士山の姿だ。富士山に登る人のなかにも外国人の割合が増えているようだが、遠くから眺める分にはそんなことは関係ない。富士山は去年と同じ富士山である。コロナ禍の最中も、その姿は微動だにしなかった。

下手すぎる写真!

十年ほど前まで、私は人生のほとんどを関西で過ごしてきた。神奈川に引っ越した当初、関西弁のイントネーションがうまく通じず、無口な男になってしまった。今では標準語を使いこなしている。関西人であることに気づかれないことも多い。
だが、妻に言わせれば「まったくそんなことはない」らしい。つまり、関西人丸出しということだ。

ひょっこりバージョン。

関西弁を隠した関西人でも、富士山を前にすると心は隠せない。富士山を見ると、いまだに冷静ではいられない。大阪城を見ても「うわっ」とはならないが、富士山を眼前にすると、つい「うわっ」と声が出てしまう。関西人は皆そうではないか。

うわっ!

ユクとの夕刻の散歩で、つるべ落としのこの季節には富士山がすっきりと見えることが多い。夏は気温が高く、なかなか姿を見せてくれない。まさに“秋は夕暮れ”である。

ユクと富士。

十一月になり、山の散歩も解禁された。ユクの大好きな山道散歩だ。今年の夏は海に行くことが多かった。これからは山だな、ユク坊。