犬はリードを持つ人によって行動を変えるそうだ。ユクの振る舞いも、まさにそれを感じさせる。私がリードを持つとき、妻がリードを持つとき、それぞれにおいてユクの雰囲気は変わる。二人と一匹なのか、一人と一匹なのかによっても、その行動は変わるのだ。

私と歩いているとき、ユクはあまり引かない。妻が一緒のときは、私がリードを持っていても前へ出ようとする。ユクと私だけで歩いているときは引かないということを妻に話しても、信じてもらえない。それもそうだ。二人と一匹のときのユクは、いつもグイグイと引っ張っているからだ。

このグループを自分が率いていかなければいけない――そんな意志のようなものを感じる。ユクはリーダー気質を持っているとは思えない。そういうことではない。けれど、「格好つけ」ではあると思っている。私たちに対して、格好良い自分でいたいのだ。特に妻に対して、自分が格好良いところを示したいのではないか。

妻に対して格好良くありたいのは、私も同じだ。ユクと私の格好つけ合戦はまだまだ続く。ユクは日々、賢くなり、格好良く見える技を一つずつ覚えていく。うかうかしていられない。