ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

犬の付き合いと大人の付き合い。

歳を重ねると、小学生の頃のように、利害を度外視した友だちをつくることが難しくなる。利害がある方が、むしろ付き合いやすい。仕事上の関係なら、新しく生まれることも多い。だが、「ただの友だち」は、なかなか出来ないものだ。

趣味を持つと、仕事とは無縁のコミュニティに属することになる。そこで生まれる繋がりは、ただ同じものが好きだというだけの、ゆるやかなものだ。その“ゆるさ”が、大人になってからの友だちには、ちょうどいい。

友だち?おやつをくれたら友だちにしてやろう。

犬連れの友人も、それに近い。
犬を連れている、という共通項だけで、まず挨拶を交わすようになる。犬同士が仲良くなれば、なおさら距離は縮まる。人間の子どもと違うのは、見えないところで勝手に遊び始めたりはしないことだ。つながりの主体は、あくまで人間側にある。

群れからはぐれて保護されたかもしれないユク坊。

ブラジリアン柔術をはじめて十年ほどになる。
取っ組み合っていると、不思議とすぐに仲良くなる。やがて、柔術とは関係なく遊ぶ友人ともなってくる。

稼働してる!

先日、その柔術仲間(友だち)と「レトロ自販機コーナー」へ出かけた。彼とは年齢も近く、育った空気も似ている。だから、触れてきた文化や匂いにも共通項が多い。

レトロなゲームを一緒に楽しむ仲でもある。彼が「面白い場所がある」と教えてくれたので、平日に休みを取って、二人で出向いた。

百台ほどはあっただろうか。懐かしい自動販売機が整然と並んでいた。しかも、多くが現役で動いている。まずは、うどんの自販機で天ぷらうどんを買った。子どもの頃にはなかなか手が出なかったものだが、今では値段など気にせず買える。

王さんではなく仁鶴さん!

天ぷらうどんは、驚くほど美味しかった。そのほかにも「ボンカレー」「トーストサンド」「ホットドッグ」。子どもの頃の“叶わなかった欲望”を、順に満たしていく。

これも美味しかった。

 

瓶のコーラも久しぶりだった。唇に触れたときの、あの丸みのある冷たさは、ペットボトルとはまるで違っていた。

とても美味しかった天ぷらうどん。

二時間半ほど滞在して、たっぷり遊んだ。帰り道は、若い頃に打ったパチンコ台の話で盛り上がった。大船駅に着いたら、あっさりと「じゃあ、また」。
その淡さが、なんとも心地よい。

瓶のコーラ。

犬連れ仲間との関係にも、この淡さがある。
ユクは気まぐれで、犬づきあいも人づきあいももっと淡い。
その振り切り様がうらやましい。

寒くなってきたねぇ。