ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

悪魔のささやき。

午後、どうにも抗いがたい眠気に襲われる。
それをなんとかしようと、朝と昼の糖質を抑える生活を始めた。
たしかに、眠くならない。けれど、その代償として、いつもお腹が減っている。口寂しさを紛らわせようと素揚げのミックスナッツを頬張るが、そんなもので収まるはずもない。

雨の日散歩のユク坊。

夜になると、つい食べすぎてしまう。夕食を食べて眠たくなっても構わない。むしろ、眠たくなるほうが自然で良い。そう思ってしまうと、もう歯止めが効かない。
考えてみれば、「午後に眠くならないように」という目的が、そもそもずれている。健康のためとか、体を軽くしたいとか、そういう方向であれば、まだ続けられたかもしれない。しかし、「眠気を防ぐため」では、リバウンドも当然の帰結である。

飼い主の帰宅時にはヘソ天をして迎えてくれるユク坊。

今日も、そうだった。
昼、コンビニの棚の前で険しい顔をして糖質の欄を睨みながら食べ物を選ぶ。野菜とタンパク質を中心に、満足感がありながらも糖質は控えめ。眠気はまったくこない。完璧な食事だった。ところが、四時間半ほど話し続ける仕事を終えたあと、ふと、背脂まぜそばが食べたくなった。「今日は頑張ったし、いいだろう」その一言が、敗北の始まりである。完全に、ダイエットを失敗する人の思考だ。

謎のポーズ。

「背脂まぜそば」。罪深い響きだ。しかもその横には「大盛り無料」「ライス付き」の文字がある。私の中の悪魔が歓喜の声をあげる。「もう眠たくなってもいいじゃないか!」そのささやきに従ってしまった。理性は、油と炭水化物の前にあっけなく砕け散った。

お昼までは良かった……。

後悔しながらこれを書いている。ユクはいない。私は出張中なのだ。
明日こそは、糖質を控えよう。
そう思いながら、どこかでまた、悪魔の声が小さく笑う。

眠くなったら、ユクと一緒に午睡すればいいじゃないか。

お昼寝マウンテンドッグ。