梅雨に入ってもそんなに雨に振られず、むしろ曇っているので、散歩もしやすいくらいに感じていた。ところが、ここに来て雨がよく降っている。しとしと降るような風情のあるものではなく、短い時間だが豪雨、という感じのものがここのところ多い。ゲリラ豪雨と呼ばれているものだろう。
外でしか用を足せない犬の飼い主たちは、皆さん雨雲レーダーを頼りにしている。スマートフォンのアプリの中でも最も使用頻度が高い。犬の散歩が日課になってから、天気、温度、湿度、日の入り時刻など、自然の状態を気にするようになった。地球のリズムと生きるようになった、とでも言えようか。まぁ、それは大げさだ。
私が散歩に行くぞ、と言えばついてくる健気な犬を裏切りたくない。レーダーを見て、今なら散歩に出かけるチャンスだ、と犬を誘う。私には犬をずぶ濡れにさせてはならないという使命がある。雨と雨の間を狙うこともある。道や草木はつゆに濡れている。
ユクはこちらのそんな気苦労は知らない。当然お構いなしである。
一日のメインイベントである、散歩に出かければ、大好きなクン活をし始める。つゆに濡れていようが関係ない。頭を突っ込んで匂いを嗅ぐ。いつもより頭を突っ込んでいやしないか。
楽しみにしていることだから仕方ない。
後で拭いてやるから気の済むまで嗅ぐがよろしい。
