近所にとても良くしてもらっているお店がある。
お店で良くしてもらっているというよりは、普段の散歩のときにいつもとても美味しそうな手作りおやつをユクにくださる。ユクはもう虜になっているので、いつも駅周辺でキョロキョロと探すのが日課となっている。
もちろんお店でもお世話になっている。
犬同伴でお店に入ることができるので、ユクも連れて行くのだ。
いつも人気のお店なので、席が空いていないことも多い。とくに今はあじさいの季節でもある。
朝の散歩が終わってから、改めて出かける。
ユクはいつも一旦昼寝をする時間なので、なぜだ、という表情をしている。君の好きな人たちのやっているあのお店へ行くのだよ。そんなことは犬に通じないので、もどかしい。
ユクはやはり気づいておらず、別の散歩コースへ行こうとする。
お店が近づいてくると、ユクは察知したようだ。お店に行った記憶が思い起こされたか。我先にリードを引っ張って、お店の方へ向かう。その背中はもう喜びに満ち溢れている。が、しかし。
あじさいの季節の週末ということもあり、満席だった。悪かったな、ユク坊、帰るぞ。またもや、なぜだ、という表情のユク。ごめんごめん。
数日後。
妻がテレワークだというので、平日なら大丈夫だろうと、満を持してユクを連れ出した。またもやユクは気づいていないようだったが、同じように店に近づくと先導し始めた。今度こそ。
ところが、その日、お店はお休みだった。
ちゃんと調べていない私たちのミスだ。ユクは、店の前に張り付いて、早く入りたそうにしている。すまない、ユク坊。帰るぞ。
度々、バンザイなしよ、を経験させてしまったので、今度こそは開店前から並ぶ勢いで訪問したい。