ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

一日一笑。

ユクは毎日何かしらの笑いを提供してくれる。
犬は笑わせようなどという作為がないため、余計におもしろい。
真面目に取り組んでいるところを笑うのは申し訳ないとも思うが、笑いとはそういうものでもあろう。

何をニヤニヤしているのだおぬしは。

ユクのために置いてある毛布やベッドなどを前足で掘るような仕草をして整える。本来は土をかき分け寝床を作るというような動きに由来するものと思われる。相手が土ではないので、ベッドはひっくり返るわ、毛布はぐちゃぐちゃになるわでひとつも整わない。それでもどこかで満足をして、メイクしたベッドのうえで丸くなって、深い溜め息をつく。
それでいいのか?とツッコミを入れたくなるが、これでいいのだ、という表情をしている。

ご意見は受け付けません。

おやつが欲しいとき、ユクは「お利口」な顔をして、キッチンの前でオスワリをする。背筋も伸びている。「お利口」な顔をしています、どう、と言わんばかりにこちらを見る。するとだいたい人間のほうが負けておやつを準備してしまうので、成功事例となり、またこれを繰り返すようになってしまう。

この顔しているときは、わかるよな?

百均で売っている魚の形をしたぬいぐるみを使った芸当もなかなか見事なものだ。咥えては放り投げ、一定の距離を保ちながら獲物である魚を睨みつける。刹那、少しへっぴり腰で魚に襲いかかり、咥えあげて、キュッキュと音を鳴らす。押すと音がなる袋が魚のお腹に仕込まれているのだ。

おさかな争奪戦に人間も参戦。

その行為を見て、人間がまた喜び、褒美のおやつをやってしまうので、味をしめて、お魚との格闘劇は繰り返される。繰り返しやっているので、ユクの演技力も構成力もどんどん上がっている。お魚を遠くから狙っているときに周りに他の犬達がやってくる場面がある。ユクは周りの犬達に睨みを効かせながら魚を奪われないように自ら仕留める。ユクの演技力の高さから、ユクが犬達に囲まれている様子がうかがえるのだ。

昨日の散歩でのこと。
歩いている途中、何度も立ち止まって、ユクが後ろ足を期にしている。足の裏のほうだ。トゲでも刺さったか、尖ったものでも踏んでしまったか。こちらも気にして、見てみるが怪我をしているわけではなさそうだった。しばらくそのまま歩いていたのだが、まだ時折足を気にしている。

おやつタイム。

 

妻がしゃがんでユクの後ろ足をつかんで確認した。すると、ポロッと何か黒く丸いものが、ユクの足の裏から転がり落ちた。落ちた先を見ていると、黒いものが形を変えてある生き始めた。ダンゴムシだ。ユクに踏まれて丸くなったダンゴムシは丸くなったままユクの足の指と指の間に挟まっていたらしい。

しばらくは思い起こしてにっこりできそうである。