過去の写真を振り返ると、ユクの来た日の数日後には海へ連れて行っていた。
犬の散歩で砂浜へ行く、というのは犬を飼うイメージとしてはお決まりな感じもする。実際にそれなりに広いし犬が多少走り回っても周りに迷惑をかけることも少ない。犬を連れた人は実際に多い。
夏の間は海の家が建ち並ぶし、夕刻を過ぎてもヤンキーが多いので、居心地が悪くなる。そもそも明るいうちに行こうとするとアスファルトが熱く、たどり着けない。
だから五月に行くのがよい。
標準語で言うところのヤンキーと関西で言うところのヤンキーはちょっと意味合いが違うように思う。私の頭の中だけでのことかもしれない。ただ、ここで私が使うヤンキーは標準語で言うところのヤンキーである。関西人の思うヤンキーではない。
休日に海に行った。
散歩に出かける時刻は遅かったのだが、ユクが明確に海へ行く意思を示した。心の何処かでそういうこともあるかもな、と思っていた。
やはり五月の海はよい。
人口密度が適度だ。
バーベーキューをしている人たちもいたが、この密度ならまったく問題がない。由比ヶ浜には女子高生の格好をした集団が季節問わず来ている。もちろんカップルもいる。最近のカップルを見ていると動画を撮影し合っていることが多い。写真ではなく動画だ。おそらくSNSでショート動画を公開するための素材撮りと思われる。二人並んで踊っている様を撮影している仲良し二人組も見かけた。
動画の撮影、編集能力がデフォルトで備わっていなければ生きていけない世の中になったのだ。と感慨にふける。
私も「いい感じ」の写真や動画を撮ろうと努力するが、やはりあまり「いい感じ」はしない。
そんな感じなどなくても、ユクが楽しそうにしているのでいい気分ではある。
そういえば五月はまだ寒い。特に日の落ちかけた砂浜は寒い。
ドライの愛犬Tシャツを着てきてしまった。真夏の格好だ。
まだ、おたくの犬のTシャツですね、と声をかけられたことはない。