ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

 花粉症ニモマケズ。

花粉症など無縁であった。
四十を過ぎるころまで。

鼻炎もないし、健やかに暮らしていたのだが、関東に引っ越してきたあたりから、花粉症の症状を感じるようになった。もちろん最初のころは「信じて」いなかった。花粉症については信仰心がつきものである。

わっちは花粉症ではありやせん。

ある年の二月。
沖縄旅行に出かけた。もちろんユクのいない頃の話だ。
レンタカーを借りて、郊外の窯元へ行き、焼き物などを買った。美ら海水族館へも行った。台風にも遭った。沖縄満載の経験をした良い旅行であった。沖縄には花粉症がない、とは聞く話だが、そんなことはない。私は二月の沖縄で花粉症を生まれて初めて発症したのだ。

沖縄県宮古島出身犬の退屈表現。

粘度の低い鼻水が知らないうちに垂れてくる。そのことに戸惑っていると、猛烈に目が痒くなってきた。さらに困惑した。目を擦ると自体は悪化の一途をたどる。状況がつかめない。花粉症の季節は春のはず。

妻が花粉症の薬を持っていた。
薬などなるべく飲みたくないという気持ちはゼロになっていた。この痒みがなくなるのなら、すぐにそれを飲ませてくれ!

いますぐそれをください!

治った。
生まれて初めて飲んだ花粉症の薬だ、効果も抜群だったのだろう。
あとで調べてみると、「リュウキュウマツ」か「モクマオウ」という木の花粉に反応していたようだ。スギとヒノキは沖縄にはないが、花粉症がないわけではなかったのだ。

今では沖縄の花粉だけでなく、本州のスギ花粉にも反応する体となった。
今年は二月の上旬から薬を飲んでいる。が、やはりここ数日の陽気で花粉をとても感じるようになった。目が痒い。掻くことはもちろんしません。

じ、自分でペロッとしただけだから!

ユクの鼻先も必要以上に濡れている感じがある。
ユクも花粉症なんだろう。
人間も犬も花粉症に苦しんでいる。

それでも私たちは山に向かう。

どや!