冬に履く股引きのことをパッチと呼ぶ。これは関西の言葉だろうか。関東に越してきてからはあまり耳にしない。単に古い言葉なのだろうか。タイツという上品な言葉も聞くが、それは紛うことなきパッチだ。格好良く言ったところでパッチであることは変わりない。
ここ十年、運動を良くするようになって、冬にパッチを履かなくなった。柔術を趣味にするまでは、冬になるとユニクロのヒートテックパッチを履いていた。これがないと、足のほうの風通しが良すぎて気持ち悪いくらいだった。太腿に筋肉をまとったからだろうか、最近では一切履かなくなった。
プログラムにバグがあったとき、つまり不具合があったとき、正常に動作させるためにそこの部分を修正する。この行為のことを「パッチを当てる」と言う。この場合のパッチは股引きのパッチとは違う。音は同じだが、語源から何から違いそうだ。プログラム修正のパッチは、穴が開いたところを塞ぐパッチ、という意味合いからそのように呼ばれていると思われる。
先日、犬が他の犬に噛まれた。しかし、噛まれたのは着ていたコートのぶぶんであり、難を逃れたことは前回書いた。
そのままでは水が侵入するし、綿が出てしまうし、まったく良くない。
妻が補修テープを買ってきて、ささっと直した。パッチを当てたのだ。便利なものがあるものだと感心した。黒色のコートで良かったな、と思った。いかにも継ぎ接ぎのようではみすぼらしい。
みすぼらしいといえば、私のジャケットのポケットにも穴が開いて久しい。ここにもパッチを充てたい。必死のパッチよ。