ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

ルーティンを果たす犬。

ユクは三週間に一度、シャンプーをしている。
いや、されている。

おでこつるんの図。

 

毎回私たちが風呂の方で準備を始めると、初めてのときのように、神妙な顔をして、耳を後ろにおでこを広くして、隅っこに座る。怯えた表情と震えで嫌であることを表現してみせる。「アップ!」と命令しても、まったく立ち上がらない。おでこをつるんとさせて、伏し目がちである。抱っこしようとするが岩のようになり、やはり立ち上がらない。そこをなんとか説得し、結局抱っこして風呂場まで連れて行かれる。三週間に一度、おおよそこのような感じで犬のシャンプーが始まる。

どろんこ犬。

雨の日は違う。
雨の日、ユクの足がどろんこになるので、お風呂で足だけ洗う。なぜかユクの中で、このことは紐づいたようすで、雨の散歩から帰ってくると、自ら風呂場にやって来る。普段のあの怯えようは何なのか。足だけ、ということが分かっているので平気なんだろうか。

そうは言っても、シャワーで濡らされることも何度も経験しているのだから、慣れてきたようにも見受けられる。ひょっとして演技なのではないか、と疑念を持ってしまう。

お昼はショッピングセンターにやってきた。

その日、夜はユクのシャンプーの日と決まっていた。
ユクの中で紐づいていないと思われるが、私たち夫婦は、夜シャンプーだし、海に連れて行ってやるか、くらいに思っている。海、そしてシャンプーの流れ。

ユクが海を好きなのは何度も書いた。
水が嫌いなことも。
ただただ、浜に座って辺りを眺め、匂いを楽しんでいる。

以前は、海から帰るとき、必ず「馬鹿走り」を行った。帰りたくないからだ。これをなだめるのがとても大変だった。今はどうかと言うと、相変わらず馬鹿走りをする。ただし、義務としてやっているように見える。義務は大げさだが、帰る前には飼い主の周りをぐるぐる走り回らなければならない、とでも決めている感じがする。三周くらいすると穏やかになり、さっさと帰路につく。まるで馬鹿走りにキャーキャー言っている私たちが馬鹿みたいだ。

馬鹿走りの様子。

その夜。
シャンプーだったわけだが、やはり小さくなって、お風呂を嫌がった。

風呂前の怯えた演技と砂浜を離れるときの馬鹿走りに似たものを感じる。

撮らせてやるよ!