食べ物のアピールポイントとして、「本来」という言葉が使われているのを目にすることがある。お肉本来の味とは一体何か。魚本来の旨みとは。味付けを薄くしました、という言葉と同義だろうか。
なぜ野菜の旨みではなく、野菜本来の旨み、なのか。本来がなくても良さそうだが。
「お米本来の美味しさ」や「小麦本来の味」
などと言われると、「おぬしは味など分かっておらぬたわけ者よ」と言われているような気もする。
本来といえば、うちの犬は犬本来の行動をよく取る。怪しい者が近寄れば吠えるし、むやみに人に対して愛想を振りまかない。自分の縄張りを大切にし、散歩に出たら匂いを嗅いで情報収集に余念がない。おやつはもらうくせに触らせない。
今はきっとそういう犬が減っているけれど、ユクのような本来の性質を持った犬もいるのだ。犬は動くぬいぐるみではないので、気軽に手を出したり、駆け寄ってはいけないよ。
こんなことを書くと、
「おぬしは犬のことなど分かっておらぬたわけ者よ」と言っているように聞こえるだろうか。
ええ、犬のことなど、誰も分かっておりません。