ユクが来て二回目の夏を迎えた。最近ふと気が付いたことがある。横断歩道を渡るときに、ヨッシャー!という感じにならなくなったのだ。きっかけはなくて、ただ何となく、しなくなった。もしかして、これが落ち着いてきたということだろうか。二歳を目前に、ユクもついに大人になってきたのだろうか。
リードを持つ人間の気持ちが犬に伝わるという話は、よく本に書いてある。信号のない横断歩道では、行き交う車に手を挙げて渡りたいという意思を表明しなければならず、人間の側が特に緊張してしまう。さらにさっと渡りきろうと慌てると、そのことが犬に伝わってしまい、結果犬のテンションが上がってしまう。その要因があることは実感としてあった。なので、なるべく横断歩道を渡るときは落ち着いた佇まいで、出来る限りゆったりと渡るように気を付けていた。その積み重ねが結実したのだろうか。
人間が興奮すると犬も興奮するということは、他にもある。人が走っていると、犬も走って興奮してしまうことが多い。だから、無闇に走りだしたりしないようにしている。ユクが来た頃は、楽しくてついつい一緒に走った。が、これは場所を間違うと、犬が興奮し過ぎて「阿呆」になってしまう。飛び跳ねたり、飼い主にアタックして来たりする犬をなだめている様は、まるで「ダンス・ウィズ・ウルブズ」のワンシーンのようだ。
実際にはそんな優雅なものではないが。
最近、よっしゃー!しなくなったね、と妻と話した翌日。見事に横断歩道でヨッシャー!となったユク。
早く渡らなきゃ、というこちらの気持ちを感じ取ったのかも知れない、と振り返って思う。気持ちはリードを通じて伝わってしまうようだ。
またもやぬか喜び。
犬が落ち着いても喜び、はしゃいでも喜び、結局喜んでいるではないか。