犬を飼うなら、トイレトレーニングをしなければならない。猫なら猫砂に、犬ならトイレシートの上に、自分で用を足せるようにしつけをする。私たちもはじめて犬にトイレトレーニングを行うので、知識はゼロである。さまざま本を読んだり、YouTubeの動画を観てみたりして、方法や方針を探った。その中で良さそうだった方法は、一旦トイレシートとともにトイレのエリアとして設定したケージの中に入ってもらって、扉を閉める。そして、飼い主もケージの前で待機する。いずれ犬は用を足すので、その瞬間にケージから出してあげて、めちゃくちゃ褒めてあげる。というものだった。その場所で用を足せば飼い主が喜ぶ、ということを犬が学習するという理屈だ。
さっそく、ケージにトイレシートとともに入ってもらった。トイレトレーニングスタート。「多少長期戦になるかもしれないけれど、用を足さない犬はいないので、飼い主もがんばりましょう」みたいなことが書いてあった。たしかにそうだ。その言葉をよりどころに、妻と二人で一瞬も目を離さないように、その瞬間を待った。
しかし、ユクは、どうして出してくれないんだよ、遊んでくれてたよね、ボク何も悪いことしてないよね、という感じで悲しい目でこちらを見たり、情けない声を出すばかりで、一向にトイレの構えをしない。出してもらえないので、結局全身で残念な様子を表現したふて寝。何時間経ってもしない。日も落ちてきた。こうなってくると、ユクの身体のことのほうが心配になってくる。
こちらが根負けしてしまった。「ごめんね、ユク」ってケージを開けてやると健気にも喜んでくれる。ごめんごめん本当にごめん。さあ、外に行こう!と、私たちが散歩の準備をしていたすきにリビングでジョジョジョジョジョ。ケージはいつもは寝床だからしたくなかったのかな。
家の中で用を足せるトイレトレーニングは、まだできていない。雨でも嵐でもお散歩に行く日々である。