ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

ユクからのお願い。近鉄電車の「ならしかトレイン」に遭遇。

大阪へ行くと、大学までの交通手段として、近鉄電車に乗っている。この近鉄電車の車両でたまに盛大に鹿をあしらったものに遭遇することがある。これまでに三回くらいは乗り合わせた。外装に鹿が描かれているし、内装も鹿だらけ。つり革まで鹿が付いている。…

もしかして、お二階に居ました?

ユクがお留守番している。私は乗る予定だった新幹線を一時間早めて、新大阪駅を出発した。日が落ちるのが早くなったこの季節は、なるべく早くに散歩をスタートしてやりたい。いつもより一時間早く北鎌倉駅に着いた。それでもそろそろお寺さんが閉まる時刻だ…

大阪の街を行儀の良い犬たちが散歩している。

秋から冬にかけて、毎週大阪へ出向く。四ヶ月ほど、毎週新幹線に乗って、大阪へ行く。関西人の私にとって、富士山は特別だ。何回見ても飽きないし、見えると年甲斐もなくワクワクする。 ワクワク。 鎌倉の高台からも見えるので、ユクとの散歩の折にも眺める…

金木犀の香る季節。くしゃみする犬。

二十年近くお茶のお稽古をしている。だから、子供の頃よりは季節感というものを大切にしているように思われる。この自信のない書きぶりは、季節に鈍感である、という自負があるからだ。そうなる理由の一つに、草花の種類に弱い、ということが挙げられる。お…

スマホを見ない、犬との散歩時間。

インターネットは素晴らしい。二十代半ばを過ぎてから、その恩恵に預かっている。これまでの人生において、前半はインターネットなし、後半はインターネットあり、ということだ。インターネット以前以後、というものは、なかなかに差が大きいと思う。正確に…

タイムトラベルな故郷散策。

ユクと近所の住宅街を散歩しているとき、子供のころに住んでいた街を思い出すことがある。いつ遊びに行っても、綺麗なお母さんがクッキーと紅茶を出してもてなしてくれた家。玄関にふさふさの茶色い雑種犬がつながれた家。立派な岩が玄関周りに積み上げられ…

台湾式朝食と台湾の犬。

ユクは宮古島で保護された犬だ。なぜ仔犬だったユクが野良犬となっていたのかは分からない。お母さん犬と離ればなれになってしまった経緯を色々と想像するのは楽しい。それも結果オーライというか、いま、北鎌倉でぬくぬくと腹を出して眠ることができている…

コミュニケーション下手な犬が、私を舐める。「シックスセンス」的展開。

ユクは四歳になった。歳を重ねて、少し性格が変わった。変わった、というより、形成された、というべきか。特に手を焼いているのは、散歩中に出会う犬たちとのコミュニケーションである。何度も会っている犬たちは、概ね大丈夫なのだが、初めてお会いする犬…

行かないでね。ヘソ天でお出掛けを阻止する犬。

なるべく犬と一緒に居てやるようにしている。犬の時間を人の時間に換算するのは不自然な気持ちになるが、やはり犬時間は早く過ぎていく、と折々に思ってしまう。群れで暮らす習性があったり、人と暮らしてきた歴史もある。犬も人と居たいと思っているようだ…

朝のお寺散歩に復帰できました。

夏の初めにスズメバチに刺されてから、ユクにはトラウマが残っている。時折フラッシュバックするようで、刺された尻尾の付け根を気にする仕草をする。背中のお尻あたりを撫でてやり、大丈夫だよ、と声をかけてやる。実際には蜂が居ないし、羽音も聞こえない…

捕食者の世界。

「捕食者の世界」というドキュメンタリーをNetflixで視聴した。捕食者とは、他種の生物を捕まえて食べる動物のことを指す。人間も同様のことを行っているではないか、と思えるが、人間の設定した捕食者の定義は人間には当てはまらないそうなので、地球上で人…

怖いアイツの居ない隙に。犬の学習。

妻から報告があった。「あなたが二階に上がっていったら、寝ていたユクが起き上がってきて、要求しにくる」と言う。「ほれ、アレくれ!おやつや!」という感じで要求してくるそうだ。本当だとしたら賢い。いや、本当なのだ。ただの賢さではなく、「ズル」が…

お誕生日って少し哀しい……?

自分が小学生の頃。近所の友達を招いて、母親が自宅でお誕生日会を催してくれた。私が個別に声をかけて、友達に来てもらった。ケーキやゼリーを振る舞って、食べるだけの会ではあるが、とても楽しかった。お友達は皆それぞれにお誕生日プレゼントを持ってき…

挨拶をする飼い主。世知辛い世の中。

挨拶をすることは簡単なことだ。それでも、少し躊躇してしまったときに先に挨拶をされ、こちらは「ああ、はい」みたいな感じになってしまうことがある。負けだ。いや、挨拶は勝ち負けではない。だが、私は負けた、と思うことにしている。先手必勝、先に挨拶…

ユクをクン活部長に任命する。

ユクはクン活部の部長だ。部員は私たち夫婦の二名のみだが、お散歩の際には部長として、ユクは日々部活動に勤しんでいる。 お散歩はユク坊の一大イベント。 特別、私たちが任命したわけではない。ユクが勝手に部長ぶっているだけである。部員たちの面倒を見…

かもしれない運転。かもしれない散歩?

かもしれない運転。という言葉をご存知だろうか。現在でも使われているのかどうか知らないが、私が免許証を取得した一九九〇年代初頭には、教習所でやたらとこれを言われた。あの角から子供が飛び出してくる「かもしれない」。前の自転車がふらついて内側へ…

上目遣いで何かをアピールする犬。

朝からユクが上目遣いである。このような表情をするときは、私たちがお出掛けしそうな雰囲気を醸し出しているときや何かもっと食べたいというときだ。ワンワン!と寄ってきて訴えるようなことをユクはしない。花咲か爺さんが飼っていたポチのようにここ掘れ…

三歳児以上、小学生未満。

今は寝坊助の私でも小学生の頃はとても早く起きた。日曜日には、早く起きすぎてドラえもんの放送が始まる時刻まで時間を持て余した。両親は大人で仕事のない日なので、まだ寝ている。もっと幼い頃はおそらく起こしに行ったりしていたのかもしれないが、小学…

タップダンスする犬。

ユクは要求吠えをしない。家へ来た当初は吠えることがしばらくなかったので、吠えられない犬なのではないか、とすら思っていた。 ある日私が二階にいたとき、下から犬の吠える声が聞こえてきたので、下りてみるとユクがおっさんのようなドスの利いた声で吠え…

蜂に刺された犬のために。オニヤンマくん、あるいは警戒色。

「おにやんま君」という商品をご存知だろうか。昨今のアウトドアブームで、注目されるようになった商品らしい。なんでも帽子などに付けておくと、蚊よけ蜂よけになるという。それはそのままトンボのバッヂであるので、その効用をご存知ない方からすれば、何…

交わらせてもらえず、吠える犬。

お散歩に出掛けると、周辺にお住まいの犬たちと出会う。三年間をかけて、ユクが関係を作り上げてきた、近所の犬仲間たちだ。 片思いのお相手へのアプローチが下手なユク坊。 互いに空気のようにそこにいるだけ、という関係の犬もいれば、ユクが一方的に好き…

古いギターの匂いがどうしても気になる犬。

先日購入したアコースティックギターは中古だ。どこのどなたが使っていたのかは聞いていない。 茶の湯の道具は価値の高い物ほど、由緒が明確なことが多い。何代のお家元の箱書きがあり、誰それの手にわたり、その後誰それにより、というふうな感じで物語られ…

高校野球と午睡。犬を添えて。

いま、野球が特別好きなわけではない。それでも高校野球がテレビで流れている状況が好きだ。小学生の頃は、春も夏も毎日高校野球を観ていた。有名な高校の校歌を一緒に歌ったりもした。中学生や高校生になった頃には、自分がこの緊迫した場面で打席に立った…

免許証センターで見せられるビデオ。

私は優良ドライバーだ。なんのことはない、日常的に運転をしていないだけだ。運転をめったにしない人間にゴールド免許を持たせて、優良ドライバー呼ばわりするのは、現実に即しておらずおかしな感じがする。優良ドライバーというよりは優良免許証保持者であ…

アコースティックギターと犬。

ギターを買った。アコースティックギターという代物だ。十代の頃からエレキギターを弾いてきた。アコースティックギターも何本か持ってはいたが、あまり興味がなかった。大体、弦は太いし、指は痛くなるし、エフェクターでドッカーンと音量を変えることがで…

見栄とはなんぞ。

マウントを取る、という言葉を聞くようになった。ブラジリアン柔術をやっている身としては日常的な言葉であり、マウントを取れば四点が入る。日本語なら「馬乗り」の状態ことである。マットの上では日常的でも、普通の生活においては滅多にない状況だ。一生…

スズメバチに刺されたトラウマが取れない犬(とその飼い主?)。

あれから随分経つが、ユクはあの痛みを忘れられないようだ。スズメバチに刺されたのは尻尾の付け根の部分で、ピンと立ったユクの尻尾を後ろから見たところだ。まだ傷跡も残っているし、痛々しい。さらにはこの心の傷も問題だ。 尻尾に何かが触れたのか、歩い…

わがまま放題の犬。

妻はユクに甘い。ユクはそれを知っている。妻に対してわがままやお利口であることを示す行動をして、おやつをせしめている。散歩に行きたいくせに、行きたくないふりをしてみたりもする。妻が言うには、その場に私が居ると、余計にわがままになるそうだ。何…

犬に学ぶ。前向きなため息。

ため息ばかりをついていると、負のオーラに包まれるような気がする。実際そのようなことを信じて、ため息を意識的に排除してきた。幸せも不幸せもすべては相対的なものだ。どのような状況にあろうとも、もっと不幸な人が居て、それに比べれば自分なんて幸せ…

忘れた頃のコロナ。

コロナウイルスに感染した。言うまでもなく、人間の話だ。今年の二月くらいから、マスクもほとんどしなくなり、すっかりコロナのことなんて忘れかけていた。ブラジリアン柔術という人と密着する格闘技をやっていることもあり、いわゆる感染対策というものに…